初心者ならまず飲んでみたい日本酒10選

どの銘柄を飲んだらいいか分からない(T_T)

「よし、日本酒を飲むぞ!」と意気込んで、日本酒居酒屋に入りました。席について、ドリンクメニューを見ます。メニューには、見たことのない日本酒の銘柄名がたくさん並んでいます。「どれを飲んでいいか、さっぱり分からん\(^o^)/」とお手上げ状態になってしまうことと思います。そんな時のため、初心者の方に、まず飲んでいただきたい、おすすめな日本酒を10種類、紹介します。

実は、僕も日本酒居酒屋に行き始めた頃は、入門日本酒学の杉村先生がすすめていた日本酒があったら、まずそれを飲むということをしていました。

いろいろなタイプの日本酒を飲んでみよう

以下に挙げる日本酒は、あえて様々なタイプの銘柄を入れてあります。そして、それがどんなタイプなのかは書きません。先入観なく飲んだほうが、自分の好みが分かりやすくなると考えたためです。飲んでみて、美味しいと感じる日本酒があったら、店員さんに、「この日本酒が美味しかったので、これと似た感じの日本酒で、別の銘柄をください」と伝えて、別銘柄にもチャレンジしてみましょう。

北から順番にしてあります

銘柄名 ふりがな 蔵元の所在地 お燗向きか
新政 あらまさ 秋田県
伯楽星 はくらくせい 宮城県
神亀 しんかめ 埼玉県
津島屋 つしまや 岐阜県
而今 じこん 三重県
秋鹿 あきしか 大阪府
風の森 かぜのもり 奈良県
篠峯 しのみね 奈良県
宝剣 ほうけん 広島県
山の壽 やまのことぶき 福岡県

他にも書きたい銘柄がたくさんあるのですが、覚えきれないと思うので、10銘柄までとしておきます。若干、僕の好みに偏っているのは、許してください。>日本酒玄人のみなさま

次回は、日本酒居酒屋での上手な日本酒の注文の仕方について解説します。

日本酒はどこで飲むべきか

まずは、日本酒専門居酒屋に行こう

僕が考える日本酒を楽しむための、最優先事項は、「これはうまい!」と思える日本酒に出会うことです。(参考: あなたが日本酒好きに変わるとき

そのためには、まずは色々なタイプの日本酒を飲んでみることが必要です。ですが、残念なことに、普通に飲み会に参加した時に、日本酒を頼んで飲んでみても、「これはうまい!」と思える日本酒に出会える確率は、限りなく低いです。一般的な居酒屋では、日本酒愛好家が好んで飲むような銘柄を扱っていることは、ほぼないです。仮にそのような銘柄を扱っていても管理がしっかりできておらず(日本酒はデリケートな飲み物なので管理が大変なのです)、その日本酒、本来の味わいでない可能性があります。

よって、まずは、日本酒を専門的に扱っている居酒屋に行くのがおすすめです。日本酒専門店なら管理もしっかり行き届いているはずです。

※日本酒専門居酒屋は長いので、以後、日本酒居酒屋と表記します

良い日本酒居酒屋の見分け方

「地名 日本酒 居酒屋」でググったり、食べログ等で探せば、良さそうな日本酒居酒屋は見つかると思います。ネットでなくても、雑誌「dancyu(1年に1回、日本酒特集号が出ます。2015年は、2号連続だそうです)」や、その他の雑誌で日本酒特集で掲載されているお店に行ってみるのも良いと思います。

東京都内であれば、お店はたくさん見つかると思いますが、どのお店に行ったら良いか迷うと思います。そんな時のため、良い日本酒居酒屋の見分け方をいくつか紹介したいと思います。あくまで参考なので、この条件を満たさなくても、良いお店はたくさんあります!

ブログ、Twitter、Facebookなどで日本酒に対する熱い想いを持った投稿がある

日本酒居酒屋でも店主や店員さんが、ブログ、Twitter、Facebookなどのソーシャルメディアで、積極的に投稿していることがあります。その投稿を見てみて、何やら日本酒に対する熱い想いを持っていそうだと感じたら、そのお店は、日本酒に力を入れているお店なことが多いです。

日本酒の1杯の値段が安い

日本酒居酒屋では、気軽に飲んでもらうため、日本酒をなるべく安く、良心的な値段で提供しているお店が多いです。普通のお店で日本酒を飲むよりも、日本酒居酒屋で飲んだほうが、値段も安く、美味しい日本酒を飲めることが多いです。目安としては、一般的なスペックの日本酒だと、90ccで400円〜600円くらい、180cc(1合)で600円〜1000円くらいだと思います。

蔵元会が開催されている

日本酒居酒屋では、日本酒の蔵元さんをお店に招いて、蔵元さんの説明を聞きながら、その蔵元の日本酒を数種類飲み比べるという蔵元会が開催されていることがあります。飲み手にとっては、その蔵元の日本酒のスペックによる味わいの違いを楽しんだり、蔵元さんに直接、質問できたりする、またとない贅沢な機会です。このようなイベントは、蔵元さんや酒販店さんと親しいつながりがないと開催できません。そんなイベントを開いていているお店は、蔵元さんや酒販店さんと、きちんとした信頼関係を築いている良いお店だと言えるでしょう。

食べログに日本酒瓶の写真がたくさん

日本酒居酒屋には、日本酒好きが集まるので、食べログの料理写真も日本酒瓶のラベルを写した写真が多くなります。日本酒のメニューが日替わりの場合、こんな日本酒を置いてるんだなという確認にも使えます。

食べログの料理写真が美味しそう

美味しい日本酒を飲ませてくれるお店は、間違いなく料理も美味しいです。日本酒好きになって、日本酒居酒屋に通い始めてから、美味しい料理をいただく機会が増えた気がします。

取り扱う日本酒の種類が多ければ、良い店というわけではない

あと、1点だけ勘違いしやすい注意点を解説します。取り扱う日本酒の種類が多ければ多いほど、良い店というわけではないということです。先ほど書いたほうに、日本酒は管理が大変なお酒です(なぜ大変かを解説すると1記事分は軽く消費してしまうので、また後日ということで)。取り扱う種類が増えれば増えるほど、管理の難易度もあがります。難易度が上がった分、しっかり管理できていれば、何も問題ないのですが、そうでないケースの場合、きちんと管理できていない日本酒が客に提供されることとなります。よって、お店で管理できる適正な種類を取り扱っているお店が良いお店です。

他にもいろいろありそうですが、今回はこのへんにしておきます。

次回は、日本酒居酒屋に行ったら、飲んでみたいおすすめな銘柄を紹介します。

日本酒の一番すごいところ

日本酒に絶対はない、例外を楽しもう

僕の考える日本酒の一番すごいところは、「多様性」です。原料は、主に米、水、酵母ですが、杜氏の技術や蔵の環境なども相まって、多種多様の味わいになります。日本酒を飲んでいると、驚くほど、一般的に言われている常識と外れた、例外にあたることが多くあります。

これが古酒??

僕はどちらかというと、甘みと香りがあり、フレッシュ感のある日本酒が好みです。まろやかで濃厚な味わいになることの多い古酒は、どちらかというと苦手です。詳しく言うと、ちょっと苦いというかビターな感じが苦手です。

※古酒とは、一般的に酒が完成してから1年以上寝かせた日本酒のことを言います。

福岡に旅行に行った際に、立ち寄った日本酒居酒屋で飲ませていただいた古酒が、僕の中の常識を打ち壊してくれる古酒でした。それは、蔵元が氷温冷蔵で約10年寝かせた古酒で、お店の店主が特別に蔵から分けていただいたものでした。スペックは、「大吟醸 中汲み 斗瓶囲い」という蔵の最高峰の品質のものです。ワイングラスのような香りを楽しめるグラスに注いでいただき、一口、口に含んだ瞬間、「これが古酒??」と思ってしまいました。その味わいは、僕が今まで飲んだどんな古酒とも味わいが異なりました。確かに古酒らしい、まろやかさと凝縮された旨味があるのですが、苦みやビターな感じはひとつもありません。完全に僕の好みの味わいです。こうして僕は古酒の奥深さを1つ知ることになりました。

日本酒の多様性はすごい

「端麗辛口」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。昔、新潟の日本酒を始めとする「端麗辛口」の日本酒が流行した際には、それが流行する時代背景がありました。昔は、「端麗辛口」が美味しかった(美味しい日本酒なことが多かった)のですが、今では異なります。「端麗辛口」はもちろん、甘みや味わいの強い日本酒など、様々な味わいのタイプの日本酒がたくさんあります。それは、日本酒をつくる蔵元が、それぞれの強い思いを持って、日本酒造りをしている証拠です。日本酒の蔵元、ひとつひとつが他とは違う自分たちならではの日本酒造りをしようと日々切磋琢磨しています。

自分で飲んで確かめよう

日本酒の本や、雑誌記事、日本酒を古くから飲んでる方の意見など、世の中には、日本酒に関する知識を知る手段がたくさんあります。日本酒に関する知識は、ある程度までは一般化することができます。ですが、上記の古酒の例のように、常識を外れる例外が多数存在することも事実です。

「○○こそ至高の日本酒だ」、「○○は苦手だから、飲まない」などと決めつけをせず、色々なタイプの日本酒を飲んでみましょう。先入観なく、飲んでみると、新しい発見があって楽しいですよ。

色々な知識に踊らされず、自分の舌で味わって、確かめましょう。

次回は、初心者が日本酒を飲み始めたいと思ったときに、日本酒をどこで飲むべきかについて紹介します。

あなたが日本酒好きに変わるとき

日本酒の印象が劇的に変わる瞬間

僕が考える日本酒を楽しむための、最優先事項は、「これはうまい!」と思える日本酒に出会うことです。

日本酒好きの人と話をしていると、ほとんどの人が、自分が好きになるきっかけになる日本酒を覚えています。あの日本酒を飲んでから、日本酒にはまったという話をよく聞きます。最初から日本酒が好きだったという人よりも、あの日本酒と出会えたから、日本酒を好きになったという人が多いような気がします。

山の壽との出会い

僕が日本酒を好きになったきっかけは、「山の壽(やまのことぶき)」という福岡の日本酒です。自由大学の「入門日本酒学」の第1回目の講義のことでした。お酒を飲むんだから、飲み会みたいで楽しそうという軽い気持ちで受講を申し込んだのを覚えています。それまで、僕は沖縄出身の大学教授の影響で泡盛をよく飲んでいました。日本酒は飲んだことはありますが、味わいに特筆する印象がなく、良い印象は持っていませんでした。

ところが、「山の壽」を一口飲んだときに、「これが日本酒なのか!!」、「なんだこれうまいぞ」、「日本酒なのに甘いじゃないか(それまで日本酒は辛いものと思っていました)」、美味しいから、もう一口という感じで感動したことを覚えています。この瞬間、僕の日本酒に対する印象はがらりと変わりました。

後に、「山の壽」の杜氏、忽那さんを囲む会に参加したのですが、忽那さんは山の壽を「初心者が飲んで美味しいと思ってもらえる酒を目指して作っている。それでいて、初心者じゃない人にもうまいと言ってもらえる酒にしている」という趣旨の言葉を聞きました。僕は、忽那さんの狙い通りの反応だったんだなと、少し嬉しくなりました。

あなたのきっかけになる日本酒は?

僕はたまたま「山の壽」でしたが、他の人に聞くと、色々な銘柄がきっかけで日本酒を好きになっています。あなたを日本酒好きにさせてくれる日本酒に出会ってみませんか?そのお手伝いを、これからの記事でしていけたらと思います。

と、その前に、次回は、このブログのテーマである「日本酒の多様性」について紹介します。