これだけ知っておけば大丈夫!特定名称酒について

特定名称酒とは

「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」などは特定名称酒と呼ばれます。それらの呼称を使用するための、原料・製造方法などの条件が定められています。また、特定名称酒以外の日本酒は、普通酒と呼ばれます。

といった感じで説明を書こうと思いましたが、やめました。以下の記事で、特定名称酒に関して分かりやすくまとまっているからです。著者は、私が日本酒を好きになるきっかけとなった自由大学「入門日本酒学」の講師の杉村先生です。杉村先生の記事は、丁寧で分かりやすいです。

『美味しんぼ』常識はもう古い!?日本酒ってどう選べばいいの?

ポイントは2つ!純米か?精米歩合は?

上記の記事を読んでいただくとお分かりになると思いますが、特定名称酒を理解するポイントは2つです。

  • 純米か、醸造アルコールが添加されているか
  • 精米歩合は何%か

これは私見となりますが、これらの違いによって日本酒の味がどう変わるかと聞かれると、非常に難しいです。大雑把な一般的な傾向の話ならできますが、そこから外れることも多いからです。例えば、純米か醸造アルコール添加かを利き酒をして当てろと言われても、とても難しいはずです。

飲み手として、特定名称をどう活用するか

日本酒の特定名称から味の違いを読み取ることが難しいのであれば、特定名称をどう活用すれば良いのでしょうか。それは、特定名称による味の違いを同一銘柄内で比較することです。同一銘柄内というのがポイントです。同一銘柄内であれば、大まかに日本酒という括りよりも、同じ蔵で造られているので様々な前提条件が揃い、特定名称の違いによる味の違いがより分かりやすくなるからです。

その比較をうまく表現してくれているのが、茨城の酒屋「中村酒店」のブログ記事です。私も大好きな岐阜の地酒「津島屋」の記事です。

地酒界期待のNew Face「津島屋」の魅力に迫る会

津島屋は、大きく下記の2つのタイプに分別できます。

特定名称 味わい
純米 食中向き
純米吟醸、純米大吟醸 華やかでフルーティー

中村酒店では、純米の津島屋を更に「スッキリタイプ」と「濃醇タイプで」分けてています。このように同一銘柄内であれば、特定名称による味わいの違いを、はっきりと示すことができます。

さらに補足すると、元々、製造者である蔵元側が、純米系は食中酒、吟醸系は華やかさを意識して造っているそうです(津島屋の蔵元さんから聞きました)。

最初に「特定名称は、それらの呼称を使用するため、原料・製造方法などの条件が定められています。」と書きましたが、条件を満たしていても、必ずしも付ける必要はないのです。例えば、精米歩合50%の純米で作ったお酒を純米大吟醸として売り出す蔵もあれば、純米吟醸として売り出す蔵もあります。このように特定名称の付け方には、蔵元側にある程度裁量があります。津島屋の蔵元さんのように、蔵元側も意図を持って特定名称を決めていることも多いと思うので、それがどういう意図か想像してみるのも面白いと思います。

特定名称の活用方法をご理解いただけましたでしょうか。まずは、難しいことは考えずに、あの銘柄の純米大吟醸はこんな味なんだな、じゃあ、純米はどんな味なんだろうと飲み進めてみるのが良いと思います。

次回は、日本酒の味わいに影響する、あれこれをざっくりとご紹介いたします。