日本酒の「火入れ」って何?
日本酒は、酵母菌の力によって発酵を進め、造られます。「火入れ」とは、搾られた日本酒に熱処理を加える作業のことを言います。酵母菌を殺し、これ以上発酵が進まないようにし、品質を安定させる効果があります。逆に、「火入れ」処理を一切行わない日本酒を「生酒」と言います。
僕は昔、字面通り「火入れ」とは、日本酒を火でぐつぐつ煮る作業のことかと思っていましたが、そんなことはなく、湯煎により熱処理を加える作業のことでした。「火入れ」と呼ばれるのは、昔はお湯を沸かすために薪に火を点けるところから作業が始まったことに由来するそうです。(※注1)
注1: 参考URL: 泉酒造株式会社 火入れ
味を大きく左右するポイント!
「生酒」か「火入れ酒」かは、日本酒の味を大きく左右するポイントです。
- 生酒・・・フレッシュ、味が濃い、ガス感が残ることもありピリピリとした舌触り
- 火入れ酒・・・落ち着いた味、食事に合わせやすい、まろやかな舌触り
この定説から外れる例外も存在します(「火入れ酒」なのにガス感があってフレッシュなど)が、大体は上記の枠に当てはまると思います。日本酒居酒屋で飲むときには、前半は日本酒単体でも楽しみやすい「生酒」を飲んで、後半は食事と合わせて「火入れ酒」を飲むといった使い方ができます。あとは、好みですね。自分がどちらが好みなのかは、同じ銘柄の「生酒」と「火入れ酒」を飲み比べてみると、分かりやすいと思います。
ラベルから「生酒」か「火入れ酒」かを判断するには?
「火入れ酒」には、製造時に1回だけ火入れするものと、2回火入れするものがあります。1回火入れのものは、「生詰め」と「生貯蔵」呼ばれる種類があります。生という表記ですが、実は1回火入れを行っています。1回火入れを行うタイミングによって、どちらかに分かれるのですが、今の段階では、「生詰め」と「生貯蔵」は1回火入れとだけ覚えておけば問題ないです。1回火入れの日本酒は、「生酒」と「2回火入れ酒」の中間の特徴を持つと考えてもらえれば良いと思います。
生酒の見分け方
- ラベルの上に「生酒」と書いたシールが貼ってある
- ラベルに「無濾過生原酒」など、「生原酒」や「生酒」といった表記が入っている
1回火入れの見分け方
- ラベルに「生詰め」「生貯蔵」の表記がある
- ラベルに「ひやおろし」の表記がある。「ひやおろし」は秋口に出荷される「生詰め」の日本酒のことです
2回火入れの見分け方
- ラベルに「火入れ」の表記がある
- 上記の「生酒」「1回火入れ」の表記が何もない場合は、ほぼ「2回火入れ」です
次回は、今回の記事でも少し登場した「無濾過生原酒」について紹介します。
- 次回: 無濾過生原酒の長所と短所