まったり日本酒道

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銘酒探訪 「津島屋」 -28BY飲み比べ編-

後編の「28BY飲み比べ」編スタート

新コーナー、銘酒を深掘りして紹介する「銘酒探訪」。御代櫻醸造が醸す「津島屋」後編の「飲み比べ編」のスタートです。前半の「蔵見学編」をまだ読んでいない方は、下記リンクからどうぞ。

津島屋とは

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津島屋 ひやおろし2種類

「津島屋」が全国の特約店にしか出荷しない限定流通銘柄で、「御代櫻」が地元向けの銘柄という住み分けになっています。「津島屋」は、6代目蔵元の渡辺社長と酒向杜氏が2012年4月にスタートさせた新銘柄です。全て純米仕込みとなっています。軟水仕込みからなる、穏やかな酒質で、重くもなく、軽くもないバランスの良い飲み口に仕上がっています。そのバランスの良さから、飲み飽きせず、つい杯が進んでしまうお酒です。

チャレンジ精神旺盛な渡辺社長と、信頼できる技術力を持ち慎重派の酒向杜氏、そんなお二人がタッグを組んでいることも、バランスのとれた酒質になっている要因の1つかもしれません。

津島屋は、大きく下記の2つのタイプに分別できます。

特定名称 味わい
純米 食中向き
純米吟醸、純米大吟醸 華やかでフルーティー

28BYはこう変わる

渡辺社長によると、今季の28BYでは、純米吟醸系のお酒を、従来より香りを抑えめにして、甘みをより強く出すことにしているそうです。そうすることによって、より食中酒として楽しんでもらうようにしているとのこと。基本路線としては、上記の図の通りとのことですが、今季はその2つの味わいの距離がより近くなっていると言えそうです。

28BYでの新しい取り組みとしては、下記が挙げられます。

  • 新しい洗米機を導入 ※蔵見学編を参照のこと
  • 北海道産の酒米「吟風」を使った酒を出荷
  • 播州山田錦の特別純米スペックの酒を出荷
  • 昨季は生酒のみだった「八反錦」の火入れ酒も出荷予定
  • ラベルをリニューアル ※本記事で紹介します

まだ他にもあるかもしれませんが、私が把握しているのはこれらの事項です。

ここからは、私の家飲みレポートとなります。

28BY 一発目 「純米吟醸 信州産美山錦 幕開け」

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28BYでホログラムを使ったラベルに一新
  • 商品名: 津島屋 純米吟醸 信州産美山錦 幕開け
  • スペック: 純米吟醸 無濾過生原酒 あらばしり
  • 使用米: 信州産美山錦100%使用 精米歩合55%
  • アルコール分: 17度
  • 製造年月: 2016年11月

昨季からラベルを一新し、商品名に「幕開け」という意気込みが伝わってくるキーワードが追加されています。また、ラベルの津島屋の文字列がホログラムになっています。渡辺社長によると、こういう凝ったラベルも作れるようになったとのことで積極的に使っているとのこと。

昨季からのイメージだと、ワイングラスがぴったりだろうと、まずワイングラスに注いでみました。しかし、思ったより香りがしてきません。ラベルも変わっていることだし、設計を変えたのかなと考えていたところ、蔵見学の際に聞いてみたら、やはりそうだったので納得しました。

これはやっぱり錫製のお猪口の方が良さそうだなと酒器を変更してみたところ、これが正解でした。ラベルのイメージ通りのジューシーでシルキーな甘みが際立つお酒でした。「あらばしり」なので若干ですが、おりが絡んでいます。味の主張はありますが、香り控えめで、単体でも食中酒としても楽しめる一品です。

津島屋初の北海道産酒米「吟風」を使用したお酒

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北海道の広い空が連想されるラベルです
  • 商品名: 津島屋 純米酒 石狩産吟風 無濾過生原酒
  • スペック: 純米酒 無濾過生原酒
  • 使用米: 石狩産吟風100%使用 精米歩合60%
  • アルコール分: 16度
  • 製造年月: 2017年1月

28BYで初めて出荷された北海道産の酒米「吟風」を使用したお酒です。他の蔵でも「吟風」を使っている蔵は少ないので、なぜ「吟風」を扱うことにしたのか渡辺社長に聞いてみました。それは、酒向杜氏からの発案とのことです。渡辺社長としては他の北海道産の酒米「彗星」でもいいかなと考えていたそうですが、杜氏としては、「八反錦」での酒造りに手応えがあったので、その「八反錦」を父に持つ「吟風」を選んだそうです。

香りは、マスカットを連想させる香りがします。含んだ瞬間にぐっと甘み、旨味が染み込んできます。28BYの津島屋の中では、強めのインパクトがあり、含み香の余韻もありつつ、すっと切れていきます。私は初日よりも、開封して2、3日後の方が馴染んで美味しく感じました。来期もどんなお酒になるか楽しみです。

究極の食中酒 「純米吟醸 八反錦 無濾過生原酒」

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シックな深緑のラベルにホログラムの津島屋の文字が映えます
  • 商品名: 津島屋 純米吟醸 廣島産八反錦 無濾過生原酒
  • スペック: 純米吟醸 無濾過生原酒
  • 使用米: 廣島産八反錦100%使用 精米歩合55%
  • アルコール分: 17度
  • 製造年月: 2017年2月

この「純米吟醸 八反錦 無濾過生原酒」は、究極の食中酒です。ぜひ、この酒を、少し塩気があるおかずを食べた後で飲んでいただきたい。ポテトサラダや、ソースのかかったコロッケ、生姜焼きなどなど。そうして飲むと、「わー、甘い、うまい」と感じた次の瞬間、忍者が雲隠れするかのように、すっと切れていきます。その儚い美味しさを求めて、ついつい杯が進んでいくこと間違いなしです。私もついつい飲んでしまい、四合瓶が空くペースがいつもより早かったです。

この酒は、酒単体で飲むよりも、食事と合わせることで、より美味しく飲むことができると感じました。食事と合わせて酒を楽しんで欲しいという蔵元の意図がびしばしと伝わってきました。

飲んだ瞬間、満足度が最高潮になるのではなく、飲み進めていくと、じわじわと満足度が上がっていく、そして、しみじみと「うまいなぁ」と思ってしまう、そんな酒でした。

酸が心地よいワイン酵母で醸した「津島屋外伝 父なるライン」

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セピア色のラベルがしぶい
  • 商品名: 津島屋外伝 父なるライン 2016 winter
  • スペック: 純米酒 信州産美山錦 ワイン酵母使用
  • 使用米: 信州産美山錦100%使用 精米歩合60%
  • アルコール分: 11度
  • 製造年月: 2017年1月

なぜ「父なるライン」という名前なのかは、以下の引用をどうぞ。

蔵のある岐阜県美濃加茂市から愛知県犬山市の国宝犬山城付近にかけての木曽川中流域は風光明媚な峡谷となっており、その風景がドイツのライン川と似ていることから「日本ライン」と命名されました。その縁もあって、酸に着目した日本酒の新たな可能性を探るべく、ドイツ・白ワイン酵母による日本酒醸造の研究を重ねた結果、誕生したのがこのお酒です。(中村酒店HPより)

「津島屋外伝 父なるライン」は、ワイン酵母を使用して醸しており、まるで白ワインのような酸が特徴の酒です。28BYは、これまで引き合いの強かったおりがらみバージョンのみ出荷とのことでした。ラベルは、渡辺社長のお父さん、先代蔵元が書いた油絵だそうです。夏に出荷される「父なるライン」では、セピア色ではなく、普通の色合いのラベルなのでそちらの方が、ラベルをしっかり見れますよ。

こちらのお酒、酸度が4.3あるそうで(通常の日本酒の場合、1.0〜2.0くらい)、かなり日本酒離れした味わいとなっています。それが逆に普段、ワインを飲んでいる方などには相性が良く、この銘柄から「津島屋」を知ってもらえる機会も多いそうです。そして、11度という低いアルコール度数と、おりがらみによる微発泡が、爽快な飲み口に一役買っています。ワイン酵母ならではの酸、おりがらみのジューシーな米感、微発泡の三者が合わさり、絶妙なハーモニーを奏でます。乾杯酒や、洋食と一緒にいただくのが良いと思います。

私は好みの味わいなので、毎年必ず買っています。28BYは、おりが割りと多めに入っていたので、ジューシー感が割増で、美味しかったですよ。やはり微発泡があった方がバランスが良いので、微発泡が抜けないうちに、開栓したら早めに飲んでしまうことをお勧めします。

程良い吟醸香と綺麗な酒質 - 特別な日の一杯に

津島屋外伝 四十一才の春
ラベルの文字は、書家の遠藤泉女氏が毎年書き下ろします
  • 商品名: 津島屋外伝 四十一才の春
  • スペック: 純米大吟醸 生酒
  • 使用米: 契約栽培米山田錦100%使用 精米歩合50%
  • アルコール分: 15度
  • 製造年月: 2017年3月

津島屋の酒向杜氏の年齢とともに名前が変わる津島屋外伝「○○才の春」シリーズです。杜氏の年齢が入る特別なお酒だけあって、毎年楽しみにしている人がたくさんおり、津島屋の中でも人気商品です。私も「三十六才の春」から毎年買っていたのですが、昨年はうかうかしていたら、すぐに売り切れとなり買いそびれてしまいました。。昨年の教訓を活かし、今年は発売直後に入手しました。

今季のこのお酒の特徴は、なんといっても香りでしょう。グラスを口に近づけると、ほんのりメロンを思わせる吟醸香が、心地よく香ります。この香りを楽しむために、ワイングラスで飲まれることをおすすめします。香りは十分に出ていますが、主張しすぎるわけではなく、程良く穏やかなので、食事との相性も申し分なしです。

味わいに関しては、正統派の純米大吟醸酒といった趣で、気品があり、綺麗な味わいです。すっと口になじみ、すっと消えていきます。私としては、もう少し味が出ている方が好みなのですが、例えば「黒龍」の高級ラインの酒が好きな人にとっては、ドンピシャの酒だと思います。

シチュエーションとしては、特別な日の乾杯酒として、ワイングラスで楽しむのがぴったりです。私は無理ですが、四十一才の誕生日にこの酒をいただくなんて、最高に乙でしょう。

これであなたも津島屋通 豆知識編

ラベルのうちわみないなのは何?

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屋の字の左にあるこれは何?

これが何なのか気になって、渡辺社長に質問してみました。ラベルの「津島屋」の文字を書いてもらった遠藤泉女氏の印だそうです。なるほど、ガッテン!ガッテン!

ちなみに遠藤泉女氏のラベルは、「津島屋外伝 ○○才の春」でも見ることができますよ。杜氏と同じ年齢が刻まれる特別酒です。今年は「四十一才の春」です。毎年ラベルが変わるので、それを見るのも楽しみの1つです。

肩ラベルのマークは何?

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お米の名前の下にマークがあります

酒米とその産地をモチーフにしたマークだそうです。漢字が多くなりがちなラベルに、柔らかな印象を加えようと付けたものとのことです。確かに「雄町♡」とあると印象に残り、どんなお酒が気になってしまいますね。

津島屋の酸度と日本酒度を知りたい

こちらはかなりのマニア向け情報です(笑)。津島屋の裏ラベルを見ても、酸度と日本酒度は掲載されていません。

それが、なんと「ふくはら酒店」ブログの入荷情報を見ると掲載されています。

ここを見ると、上に挙げた「津島屋外伝 父なるライン」は、「日本酒度: -28」、「酸度: 4.3」ということが分かります。マニアな方は参考にしてみてください!

ディズニーシーで御代櫻醸造のお酒が飲める!?

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御代櫻 大吟醸仕込みの梅酒

津島屋を醸す御代櫻醸造では、梅酒も造っています。なんと、その梅酒、ディズニーシーでいただくことができるのです。確かにウェブサイトを見ると、「レストラン櫻」のメニューに掲載されています。蔵見学の際にこれを聞いてかなりびっくりしました。よりによってなぜ「梅酒」というのもありますが(笑)。

ディズニーシーに行く予定がある方はぜひ注文してみてください。

津島屋の買える店

「津島屋」は限定流通銘柄なので、特約店の酒屋からしか購入できません。蔵に行っても、購入できないのでご注意を。以下に私の知っている「津島屋」の扱いのある酒屋を紹介します。知らない特約店もあるはずなので、こちらが全てではありません。

更新履歴

28BYの津島屋を飲んだらこのページを更新する予定です。

  • 2017/02/14 記事作成
  • 2017/04/05 「四十一才の春」の感想を追加