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まったり日本酒道

日本酒を楽しむコツを分かりやすく紹介していきます

銘酒探訪 「津島屋」 -蔵見学編-

新コーナー「銘酒探訪」

突然ですが、新コーナー「銘酒探訪」をスタートさせることにしました。1つの銘柄を深く掘り下げて紹介していくコーナーです。記念すべき第1回目は、先日、蔵見学させていただいた「津島屋」です。

津島屋との出会い

まず、本編に入る前に、私と津島屋との出会いについて語らねばなるまい。2012年10月1日(日本酒の日)に、大森・吟吟で開催された「ひやおろしナイト」でのこと。「ひやおろしナイト」では、10月1日解禁となるひやおろしの日本酒、30~40種類をブラインドで利き酒し、自分の好きな日本酒3本に投票して、参加者からの得票数によって、ひやおろしグランプリとなる日本酒を決めるイベントです。

初参加で要領の分からない私は、隣で利き酒していた某蔵元さんに要領を伺って、利き酒を進めていきました。3種類選んで良いところ、特に印象に残った2種類のお酒にのみ投票しました。なんと、その2種類が「津島屋」だったのです。純米大吟醸の岐阜県産契約栽培米山田錦、播州産山田錦の2種類でした。「津島屋」は1位は取れなかったのですが、初参加にて、なんと2位、3位を飾りました。

その年の12月に吟吟にて津島屋の蔵元会が開催され、そこで蔵元の渡辺社長と知り合うことができ、その後も吟吟の蔵元会や、偶然カウンターでご一緒させていただいたりと、渡辺社長のお人柄の良さも知り、ますます蔵のファンになりました。押しメンならぬ、押し蔵があるとするならば、私は間違いなく「津島屋」の蔵元、「御代櫻醸造」を挙げることでしょう。そういうことなので、本ブログのアイコンは、「津島屋」の画像になっています。

岐阜県美濃加茂市にある蔵へGO

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歩いていくと見えてきた「御代櫻」の看板

さてさて、長い前置きでしたが(笑)、「津島屋」、「御代櫻」を醸す御代櫻醸造に蔵見学へ行ってきました!岐阜県美濃加茂市にあり、JR美濃太田駅から徒歩10分ほどで到着。周りは昔ながらの宿場町に囲まれ、雰囲気のある街並みです。板垣退助が事件によって殺される前日に宿泊したという宿もすぐ目の前にあるそう。 蔵開放で蔵には伺ったことはありますが、蔵の中を見学させてもらったことはないので、胸が高鳴ります。

津島屋とは

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津島屋 ひやおろし2種類

「津島屋」が全国の特約店にしか出荷しない限定流通銘柄で、「御代櫻」が地元向けの銘柄という住み分けになっています。「津島屋」は、6代目蔵元の渡辺社長と酒向杜氏が2012年4月にスタートさせた新銘柄です。全て純米仕込みとなっています。軟水仕込みからなる、穏やかな酒質で、重くもなく、軽くもないバランスの良い飲み口に仕上がっています。そのバランスの良さから、飲み飽きせず、つい杯が進んでしまうお酒です。今回は、その渡辺社長に蔵を案内していただきました。

洗米に、優れものの新設備を導入

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ウッドソン連続洗米機

まず見せていただいたのが、今年の1月から導入したというウッドソン連続洗米機です。精米歩合を5%磨いたのと同じくらいの効果が出た蔵もあるという、優れものの洗米機だそうです。蔵にはもともと豊富な仕込み水があり、それを使って丁寧に米を手洗いしていたとのことで、手洗いをしていた高級スペックの酒よりも、地元用の純米や本醸造クラスのお酒の方が、この洗米機の効果が出るかもしれないとのことでした。また、大量の米を短時間で、綺麗に洗うことができるので、米洗いの作業効率アップにも貢献します。

1月に導入したばかりなので、2017年2月8日現在、流通している酒は、元来の洗米方法となります。この洗米機で洗ったスペックは、津島屋 純米大吟醸 山田錦 あたりからとのことです。どんな感じに仕上がっているか今から楽しみです。

参考リンク: ウッドソン 酒造用洗米機 コメクリーンMJP洗米機

麹造り 台の仕切りがポイント

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麹室 仕切りになっている箇所がポイント

こちらは麹室です。酒の発酵を助ける麹を造ります。一般的に「一麹、二もと、三造り」と言われており、酒造りの中でも大事な工程の1つです。この日の麹室の室温は34度でした。高い室温の中で作業が行われます。

蔵の麹造りのポイントは、写真左下部分にある仕切りになっている箇所とのこと。仕切りは動かすことができ、麹造りの工程に合わせて仕切りを動かし、使用する表面積を変えていくそうです。それによって麹の温度管理をしやすくする工夫をしているとのことでした。

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麹室にはこんな機器も

麹室には、写真のような機器も置かれていました。「新政」や「ゆきの美人」の蔵元にも置いてあるという、オゾンを使用して、麹室内の空気を清潔に保つための機器だそうです。最近、これを置くのが蔵元の間で流行っているとのこと(笑)。

速醸もとの酒母

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酒母室

麹米、水、蒸米に清酒酵母を加えて造る酒母を管理する部屋です。蔵の酒は「速醸もと」という手法で造られています。酒の設計に合わせて使用する酵母を決めるそうです。1つの酒母に対して、2種類の酵母を使用していることもあるそうです。

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3月に開催される蔵開き向けの酒の酒母

こちらの酒母からは、何とも良い香りが!聞くと、3月に開催予定の蔵開き用の酒の酒母とのことです。こちらもどんなお酒になるのか楽しみです。同じ原料で造ったもう1つの酒母の香りをかいだのですが、また少し異なる香りがしました。微生物の働きによって発酵が進むので、何か些細な違いでもあったのでしょうか。興味深いですね。

醪の発酵管理

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小仕込み用のタンク

純米吟醸や純米大吟醸といった吟醸造り向けの小仕込み用のタンクです。酒母、麹、仕込み水、蒸米を合わせて造られた「醪(もろみ)」の発酵管理を行います。

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醪が発酵する様子

醪を見せていただき、香りをかがせてもらいましたが、それぞれに異なる良い香りがしました。

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醪の温度管理のための機器

タンク1つ1つに写真のような機器が付いており、こちらの機器を使って、適切に醪の温度管理を行っているとのことでした。

絞り

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酒を絞るためのヤブタ

こちらは、お酒を絞るための機械、ヤブタです。ヤブタを調べてみて、初めて知ったのですが、ヤブタは会社の名前でした。この機械に醪を入れた酒袋を複数セットし、ぎゅーっと押して酒を絞るそうです。

参考リンク: 「Yabuta」とは? 薮田産業株式会社

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絞ったお酒がここに入ります

絞ったお酒をここから、直にすくい取って瓶詰めしたものが、「直汲み」のお酒になります。もう1つ、酒が出てくる蛇口から直接ホースで繋いで瓶詰めしてしまう「直汲み」の方法もあるそうです。こちらの方が空気に触れないので、よりガスが残り新鮮なものを瓶詰めできるとのこと。絞ったお酒は勢いよく出てくるものではなく、少しづつ出て来るそうで、「直汲み」は時間と手間のかかる作業になります。

蔵では、通常、「直汲み」の酒は出荷していないとのことですが、今季は飲食店限定などになるかもしれませんが、少量だけやるかもしれないとのこと!まだ出荷されるかは分かりませんが、出荷されたらぜひ飲んでみたいところです。

貯蔵

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蔵の所々に説明書きがありました
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貯蔵用タンク

こちらは貯蔵用タンクです。絞った酒をここで保管しておきます。目の前には、「津島屋 純米吟醸 美山錦 無濾過生原酒」として、後に出荷予定の酒が!「美山錦」は、蔵で長年使用してきた酒米であることから、扱いには慣れており、綺麗な甘みが出る酒として「津島屋 美山錦」は人気があります。

「津島屋」で、まず最初に何を飲むべきかと聞かれれば、私は間違いなく「津島屋 純米吟醸 美山錦 無濾過生原酒」と答えるでしょう。津島屋ファンを代表して、貯蔵されているお酒に対して、「うまくなれ」オーラを送っておきました(笑)。

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室温5度の貯蔵室

こちらは室温5度の貯蔵室です。出来上がって瓶詰めされた酒を貯蔵しておくための部屋です。ここで貯蔵、熟成された酒が、秋口にひやおろしとして出荷されます。「津島屋」に関しては、全量瓶貯蔵とのこと。よって、「津島屋」ひやおろしの酒には、「瓶囲い」とラベルに明記されています。

更なる酒質向上に向けて

今季は、洗米用に新設備を導入しましたが、酒質向上に向けて、さらに設備増強を考えているとのこと。現在のヤブタは長年稼働しているとのことで、新しいヤブタの導入や、ヤブタがある空間を冷蔵空間にすることなどを考えているそうです。さらに、タンクの貯蔵室も冷蔵空間にすれば、通年酒造りができる四季醸造も視野に入れることができるとのこと。そこまでいくには大変な道のりだと思いますが、一人のファンとして応援していきたいと思います。

渡辺さん、お忙しい中、ご案内いただきありがとうございました!!

さて、後編は、「銘酒探訪 『津島屋』 -飲み比べ編-」です。

※さくら酒店の御代櫻蔵見学記事には、酒造りについても詳しく触れられています。こちらも合わせてどうぞ。
「津島屋」醸造元【御代櫻醸造】見学① - 日本酒王子のマリアージュ